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秩父札所34番【水潜寺】秩父札所34観音霊場と日本百観音霊場の結願所

秩父札所巡り
水潜寺の境内へ続く参道
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【水潜寺】基本情報

日沢山 水潜寺
■住所:埼玉県秩父郡皆野町
 下日野沢3522

■宗派:曹洞宗
■本尊:千手観世音菩薩
■駐車場:あり
■電話:0494-62-3999
【御朱印受付 基本情報】
■受付時間:8:00~17:00
 ※11月~2月は16:00まで
 ※12:00~12:30は昼休憩
■定休日:なし
■御朱印料:500円
 ※2巡目以降は200円

秩父札所34観音霊場の結願所にして、西国・坂東・秩父の日本百観音霊場の結願所とされる寺院。平安時代の天長年間(824~834)に大干ばつに見舞われた際、村人の前に1人の僧侶が現れて「樹甘露法雨」と記した札を立て、観世音を拝むよう助言。以後、雨が降って水が湧き、豊作に恵まれたことが水潜寺の始まりという。方形造りの観音堂は江戸時代の文政11年(1828)に建てられ、昭和時代に改修。本尊の千手観世音菩薩は室町時代の作といわれ、一木造りで高さは37cm。脇侍は阿弥陀如来と薬師如来で、本尊も含めて伝教大師(最澄)の作であり、秩父札所のために千手観世音菩薩を、西国札所のために阿弥陀如来を、坂東札所のために薬師如来をそれぞれ作ったという言い伝えも残っている。

Kとの秩父札所巡りで30番目に訪れたお寺。
埼玉県道44号 秩父児玉線から埼玉県道284号 下日野沢東門平吉田線に入り、日野沢川に沿ってしばらく西に進んだ先にある。

「水潜寺」は秩父札所の中で最も北に位置するお寺だ。また、けっこう山深く、周囲は静寂に包まれている。お寺の南には破風山(海抜626m)がそびえており、この山にある札立峠は前述の僧侶の逸話が基になっているという。

なお、「水潜寺」まで皆野町営バスが走っているが本数はかなり少なめ。バスで向かう際は時刻表をしっかり確認し、乗り遅れないように行動しよう。

「水潜寺」の前にある「札所前」のバス停。

参道の分かれ道では右のルートへ

「水潜寺」の駐車場は県道284号沿いにあり、県道を挟んでバス停の反対側に参道の入り口がある。
参道の左右には石灯籠だけでなく、大小さまざまな石碑が点在。自分が霊場に足を踏み入れたことを実感させてくれる。

また、他にも「関東ふれあいの道」と名づけられた自然歩道の案内板もあり。こちらの案内板に記された札立峠から「水潜寺」へ続く道が徒歩巡礼道になっているようだ。

参道の入り口に立つ石碑。
参道入り口の石碑と石灯籠。
「三界萬霊」と刻まれた石碑。
参道沿いには古い石碑も。
自然歩道の案内板。

しばらく進むと、やがて参道が二手に分かれたところに出る。
こちらでは三十三観音の並ぶ左側の参道に惹かれるが、道の傍らに立つ案内板にあるとおり右側の参道を選ぼう。そちらの参道を進めば石段を経て観音堂の前に出られるからだ。

ちなみに左側の参道を進んでも境内に入れるが、その場合は讃仏堂(納経所)の前に出る。そのため、お参りをすませたあとで、三十三観音の並ぶ参道を通るようにするといいだろう。

参道の分かれ道では右側へ。
参道横の馬頭観音と庚申塔。
庚申塔はかなりの古さだ。
分岐点にある案内板。

分かれ道から緩い上り坂を進むと、途中で六地蔵と出会う。ここまで来れば観音堂はもうすぐ。
近くには細い山道があり、こちらが徒歩巡礼道と思われる。ただ、軽装ではとても踏破できそうな道ではなかったので、ワタシたちはすぐに戻った。
県道沿いの参道入り口から観音堂の前まで時間がかかりそう…と思うかもしれないが、距離にすると100mほど。歩いて数分で観音堂までたどり着ける。

参道横に鎮座する六地蔵。
参道の途中にある案内板。
徒歩巡礼道と思しき山道。

観音堂の外陣でご本尊にお参り

「水潜寺」の観音堂は6間(約10.9m)四面と大きく、正面には間口の大きな唐破風向拝がついているのが特徴。背後に山が迫っていることもあり、「水潜寺」は荘厳な雰囲気に包まれている。

堂内は前・中・後の3室に分かれていて、前部が外陣、中・後部が内陣となっている。
内陣と外陣は赤い格子戸で仕切られ、格子戸の向こうの内陣にご本尊を安置。格子戸の欄間には極彩色の飛天像が刻まれているほか、格天井の鏡板にも極彩色の花鳥図が描かれている。
さらに、外陣には子育て観音として信仰される銅製の観音坐像が鎮座。
外陣は見どころが多いのだが、写真の撮影は禁じられているので要注意だ。

なお、観音堂の写真に回向柱が写っているが、こちらは2026年3月に始まる午歳総開帳に向けてのものだ。この日は2月16日で午歳総開帳の始まりは1か月先。まだ準備中で御手綱がご本尊とつながっていないと、御朱印をいただく際にお寺の方に教えていただいた。

境内から見た観音堂。
準備中のため、御手綱が下ろされていない。
賽銭箱の左右から観音堂の外陣に入れる。

「観音霊験記」の扁額は観音堂の左側にあり、扁額の下までは正面から回廊を使って行くことができる。こちらに描かれているのは、平安時代の干ばつ時に僧侶が現れて助言したときの逸話だ。

向拝の彫刻。
横から見た向拝の彫刻。
「観音霊験記」の扁額。

観音堂の向かって左側には讃仏堂が立っており、こちらで御朱印をいただける。
堂々とした建物の讃仏堂には地蔵菩薩、弥勒菩薩、十二支八体仏が祀られているという。なお、こちらも堂内での写真撮影は禁止されている。

納経所を兼ねた讃仏堂。
「水潜寺」の御朱印。
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「水くぐりの岩屋」を通って俗世に還る

観音堂の右奥の崖下には寺名の由来となった「水くぐりの岩屋」がある。
かつては巡礼を終えた人々がこちらの洞窟をくぐり、つまりは胎内くぐりをして身を清め、俗世の生活に還ったとされる。
狭い洞窟内をくぐる際、湧き水で手足が濡れることから「みずくぐり」と呼ばれ、これが「水潜寺」の寺号の由来になっているとか。
ただし、現在は落石や落木の危険があるため、「水くぐりの岩屋」は立ち入り禁止になっている。

「水くぐりの岩屋」の入り口付近。

「水くぐりの岩屋」の前には「水潜寺水かけ地蔵」が立っている。
お地蔵さまのそばに置かれた手水鉢には「水くぐりの岩屋」から湧き出た長命水が流れ込んでいて、長命水をお地蔵さまに3杯かけ、願いごとを3回唱えるとその願いが叶うという。

ワタシたちが訪れたのは雨がほとんど降らず、全国的に水不足が心配されていた時期だった。それでも長命水は勢いよく、とはいかないまでも、ちょろちょろと静かに滴っていた。

こちらが「水潜寺水かけ地蔵」。

帰りは三十三観音に見送られて…

「水潜寺」は山の斜面に立っているためか、境内は意外と狭い。しかし、その中にさまざまな石仏や石碑、お堂が点在しているので、ワタシたちは散策に45分ほどかかった。

まず讃仏堂の隣にあるのが日本百観音結願堂だ。お堂の前には百観音功徳車と、百観音宝前の御砂を納めたお砂踏みの石がある。こちらの石に乗って功徳車を回せば、百観音巡礼のご利益が得られるという。

また、日本百観音結願堂の前にある仏足堂には仏足石が祀られている。こちらのお堂の前には小さな石が置かれていて、般若心経の一字を記して奉納できる。

日本百観音結願堂。
日本百観音結願堂の前にある百観音功徳車。
こちらは仏足堂。

「水潜寺」が仏像も多いのも特徴のひとつ。仏足堂の前には観音さまが安置され、日本百観音結願堂の裏手には七観音も並んでいる。

日本百観音結願堂裏の七観音。
こちらも七観音。
仏足堂の前の観音さま。
境内には古いお地蔵さまも。

さらに、「水潜寺」ではところどころで石碑が目につく。
新しいものから古いものまで、石碑は時代がさまざまという印象だが、中でも独特の存在感を放っていたのが「曼珠沙華 どれも腹出し 秩父の子」と刻まれた金子兜太とうたの句碑だ。

俳人の金子兜太は埼玉県比企郡出身で、20代の頃に第二次世界大戦を経験。社会問題や戦争の悲惨さをテーマにした俳句の世界を作り上げ、戦後は前衛俳句運動や社会性俳句運動を牽引した人物…というのはあとで調べて知った。

金子兜太の句碑。観音堂の前あたりにある。

「水潜寺」は秩父札所34観音霊場と日本百観音霊場の結願所を兼ねているだけあり、日本百観音に関する案内板も充実している。

日本百観音霊場の地図。
日本百観音結願堂の由来が刻まれた石碑。
秩父札所の巡路が記された案内板。

お参りが終わったら、三十三観音の石仏が並ぶ参道を通って県道284号のほうへ下りていく。
なお、ワタシたちは案内板に従って帰りに通ったが、往路でこちらを通っても問題はない、と思う。
観音さまの数がなぜ「33」なのか、三十三観音の近くにあった石碑を読めばわかったかもしれないが、石碑の文字があまりに細かく、ワタシには読めず…。あとで調べたところによると、観音さまは33もの姿に変わることができるから、とのことだ。

三十三観音の手前の千手観音。
石灯籠から先が三十三観音となる。
三十三観音の解説が刻まれた石碑。

「水潜寺」は前にも記したとおり、境内は決して広くない。ただし、その中に観音堂をはじめとして数多くのお堂や石仏などがあり、とにかく見どころが多い。
もししっかりとお参りと散策をしたいと思ったら、十分に時間を確保してからにしたほうがいい。
ワタシたちは「水潜寺」のお参りをしたあとで昼食を…と考えていたのだが、お参りと散策で予想以上に時間がかかってしまい、危うく昼食難民になりかけたので…。

三十三観音の近くの古い庚申塔。

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(お出かけ日:2026年2月16日)
※敬称略させていただきます。
※施設情報は2026年3月時点のものです。

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