留萌駅に関する記事を書いているときに思い出した。
そういえば北海道旅行のときに訪れたスポットの中で、もうひとつ印象深い駅があったことを。
それが今回紹介する函館本線の鹿部駅だ。小さい駅だったけど、なんだか温かかったなぁ…。
鹿部駅に向かう途中であっちこっちに寄り道
2017年9月。会社の北海道旅行で函館を訪れたときのことだ。
今回も函館空港に着いたあとは自由行動ということで、初日の夕食時以外は1人で行動した。
2日目にバスで函館市の北部にある鹿部町に移動。この日は「旅館 倉敷」でお世話になったのだが、こちらのお宿も今は閉業してしまったようだ。ごはんは海の幸たっぷりでおいしかっただけに残念…。
そして3日目の9月7日。
ワタシは鹿部町の市街地から鹿部駅まで歩いてみることに。その道のりは約7kmだ。
鹿部駅までは北海道道43号 大沼公園鹿部線を北上し、国道278号に入ったら途中で北海道道480号 鹿部停車場線のほうに曲がるだけという非常にシンプルな道順だ。
しかし、今回ブログの記事を書くために写真を確認したところ、鹿部川を見つけたワタシは、その河口付近までいきなり寄り道をしている。寄り道するのは今も昔も変わらないということか…。
海沿いから北海道道43号に戻り、ワタシは黙々と北上。
鹿部町に近いあたりはまだ家をぽつぽつと見かけたが、やがて家もなくなって周りは林ばかりに…。
道が広いのが救いだったが、初めての土地なのでさすがに少々不安になる。
しかし歩いている途中で、バラエティ番組「水曜どうでしょう」の企画「212市町村カントリーサインの旅」で見かけたカントリーサインを発見し、一気にテンションがアップ!
この先に「ひょうたん沼公園」という公園がある、ということでワタシはフラフラとそちらのほうへ…。
鹿部駅とはまったく逆方向だが、両側から木々が迫る片側1車線の道へ入っていってしまう。このようにワタシは時間の許す限り寄り道をしてしまう人なのである。
【ひょうたん沼公園】基本情報
ひょうたん沼公園
■住所:北海道茅部郡鹿部町
字本別
■開園期間:通年
■利用料金:無料

出来澗岬の中央に位置する、瓢箪の形をした沼の周辺に広がる公園。水仙やツツジ、アジサイなど四季おりおりの花を楽しめるほか、園内から北海道駒ヶ岳も望める。他にも散策路や多目的広場、バーベキューができるあずまやなどもあり。
今、散策路の写真が残っていないということは、ワタシは沼を見て満足したのだろうと思う。
または、思ったより公園が広くて1周しているとけっこう疲れそうだし、乗る予定の列車に間に合わなくなりそうだと判断したのかもしれない。
駅舎に残っていた外国の旅人からの手紙
国道278号から北海道道480号に入ったワタシは、看板を頼りに鹿部駅を目指す。
北海道道480号の両側はかつて別荘地として開発しようとしたのか、ときおり区画整理された跡が残っていた。ただ、このときは倒れた看板をちらほら見かけ、計画が進んでいる様子はなかった。
北海道道480号では通行人をまったく見かけないどころか、ほとんど車と出会うこともなかった。道沿いにときおり民家があったものの、人の動きをあまり感じられない。
徐々に不安を覚えるが、かといって列車に乗らないと函館空港まで行けず、引き返すわけにもいかない。
話し相手もなく、ときどきひとり言をつぶやきながら歩いていると…あ、あれ、鹿部駅じゃないか? 着いてよかったぁ…。
【鹿部駅】基本情報
昭和4年(1929)年、大沼電鉄の終着駅として開業。昭和20年(1945)には函館本線の大沼駅~渡島砂原駅間が開通し、一般駅として開業。同時に大沼電鉄の廃線により、大沼電鉄の鹿部駅が廃止となる。昭和24年(1949)に「鷹待」駅に改称するものの、昭和31年(1956)には「鹿部」駅に改称。昭和59年(1984)、鹿部町に委託されて簡易委託駅となり無人化。平成17年(2005)には簡易委託が廃止され、完全無人化された。
鹿部駅は無人駅であり、停まる列車は1日に数本。ワタシが訪れたときは誰もいなかった。
それでも、駅舎の中はどこか温かい雰囲気に満ちている。なぜなら、駅舎の壁に人の手によるさまざまなものが貼られていたからだ。駅というよりも町の小さな公民館といった趣きだった。
待合室の椅子には座布団も敷かれている。これも無人駅なのに人の温かみを感じるところだった。
また、駅舎のお色直しをした際の記念写真も何枚かあった。こういった方々が今も駅を守っているんだなぁと思うと、駅舎の中にワタシしかいなくても寂しさはあまり感じなかった。
中でも印象深かったのは、外国から訪れた旅人が鹿部駅に残していった手紙だ。そこには鹿部駅を訪れたときの感動が飾らない言葉でつづられていた。
さらに粋だなぁと思ったのが、その手紙に対する返事も貼られていたことだ。
返事は鹿部町に暮らすお年寄りによるもののようで、外国からやってきた旅人の手紙に感動したと書かれていた。
もしかしたら、この手紙を残した外国人の方は返事を目にする機会はなかったかもしれない。
列車が到着するまでしばらく時間があったので、ワタシはホームに出て写真を撮影。
このとき、ホームの看板に鹿部町の名所として間欠泉と書かれていることに気づく。しかし、ワタシは前日に間欠泉の施設の前まで行って、結局は入らなかった。ワタシはそういうヤツである。
実はこのとき、ワタシにはひとつ心配事があった。
駅舎の中にあった時刻表にワタシが乗る予定の特急列車がないのだ。しかし、スマホで調べると「この特急に乗って帰るといいよ~」と表示される。
ちょっとドキドキしながら特急列車を待っていると…おお、遠くのほうにそれらしき列車が見えてきた! あの列車に乗れば帰れる!!
特急「ニセコ」は臨時列車でレアな車両だったのか、駅に停まった途端、列車からけっこうな数の鉄道ファンが降りてきて写真を撮影。すぐに再び乗り込んでいた。
そんな姿をワタシは呆気に取られて見ていたおかげで危うく乗り損ねそうになるが、扉が閉まる直前にかろうじて乗車。無事、函館駅まで帰ることができた。
ここまで記事を書いてきて、鹿部駅には小さいながらもいろいろあったことを思い出す。
にもかかわらず記事のタイトルに「何もないがあるところ」とつけた理由を最後に記しておこう。
実は鹿部駅を訪れた当時、ワタシもけっこう感動してTwitter(当時)に「何もないがあるところ。鹿部駅」というつぶやきを写真とともに投稿したのだ。
すると、フォロワーがほとんどいないワタシのつぶやきを鹿部町の観光協会の方が見つけてくれたようで、リツイートまでしていただいた。
このブログを始めるにあたり、リセットする意味で過去のつぶやきはすべて消してしまったのだが、そのうれしさは今でも残っていて記事のタイトルにも使ったわけだが…なんだか申し訳ない気もする。
(お出かけ日:2017年9月7日)
※各情報は2025年12月時点のものです。






































