【橋立堂】基本情報
石龍山 橋立堂
■住所:埼玉県秩父市上影森675
■宗派:曹洞宗
■本尊:馬頭観世音菩薩
■駐車場:あり
■電話:0494-24-5399
【御朱印受付 基本情報】
■受付時間:8:00~17:00
※11月~2月は16:00まで
※12:00~12:30は昼休憩
■定休日:なし
■御朱印料:500円
※2巡目以降は200円
橋立鍾乳洞
■住所:埼玉県秩父市上影森708
■営業時間:8:00~16:30
※3月1日~12月上旬営業
■入場料:大人 200円
小人 100円
※団体料金あり
■駐車場:あり
■電話:0494-24-5399

そそり立つ岩壁を背にして佇んでいる姿が印象的な札所。長享2年(1488)の「秩父観音札所番付」では札所8番とされている。江戸時代には現在の14番札所である今宮坊に属し、修験僧が管理していた。明治時代に修験道が禁止されてから、しばらく管理者のいない時期が続いたが、現在は27番札所の大淵寺が管理。全体的に朱塗りが施された3間(約5.5m)四面の観音堂は江戸時代の宝永4年(1707)に建立。本尊を馬頭観世音菩薩としているのは、秩父札所では橋立堂のみで、日本百観音の中でも他には西国札所29番の松尾寺しかない。こちらの本尊は鎌倉時代の作だが、弘法大師が柚の老木を刻んだものだという縁起も残る。また、すぐそばにある橋立鍾乳洞はもともと橋立堂の奥の院であり、江戸時代までは修験道の道場だった。
Kとの秩父札所巡りで29番目に訪れたお寺。
秩父市街から国道140号を使って「三峯神社」のある西のほうへ向かっていると、重複していた埼玉県道73号 秩父上名栗線が途中で分かれるので、県道73号に入って「浦山ダム」のほうへ進む。
ちょっと進んだところで右側に「橋立鍾乳洞」へ向かう細い脇道があるので、そちらの道へ。
県道73号の高架下を抜けてしばらく進めば、「橋立鍾乳洞(橋立堂)」の駐車場までたどり着ける。
県道73号から分かれる脇道は「橋立鍾乳洞」に近づくほど細くなっていく。
場所によっては車がすれ違うのが難しそうなところもあるので、前方に注意しながら進もう。
また、脇道に入ってすぐのところに広めの駐車場があるが、こちらは有料。
「橋立堂」の手前にある駐車場は無料なので、そちらを使うほうがオススメだ。
背後にそびえる岩壁の一帯は「橋立岩陰遺跡」としても有名
「橋立堂」に着いて、まず目に飛び込んでくるのが、観音堂の背後にそびえる岩壁だ。
石灰岩でできた岩壁の高さはなんと80m(65m、75mというデータもあり)。
方形造りの観音堂には幅2間(約3.6m)の向拝があり、背面を除く三面に勾欄つきの回廊が巡らされている。また、中までは入れないが、外陣の一間のみが吹き抜けになっているとか。
ご本尊の馬頭観世音菩薩は高さ27cmほどの漆箔三眼三面六臀の坐像だが、頭部の馬印と左腕1本が失われているという。観音堂にはこの他にも十一面観音立像、地蔵菩薩5像、閻魔坐像なども安置されているそうだ。
「観音霊験記」の縁起によると、村の領主を務めていた郡司が生前の悪行により、蛇身の報いを受けることになったという。
村の男が閻魔大王からこの話を聞いた頃から、村の周辺で悪蛇の化身と思われる悪龍が出現。
村人が「橋立堂」に悪龍退治を記念したところ、お堂から白馬が出てきて悪龍と対峙するものの、白馬は悪龍に呑み込まれてしまう。
しかし、悪龍は仏の化身を胎内に入れたことで、とぐろを巻いて石化。その姿が「橋立鍾乳洞」の中に残っていることから、お寺の山号が「石龍山」になったという。
「橋立堂」はもともと奥の院だった「橋立鍾乳洞」がすぐそばにあり、納経所の建物は「橋立鍾乳洞」の入場口も兼務。「橋立鍾乳洞」に入る場合は、こちらで入場料を払うことになる。
馬との関わりを強く感じさせる「橋立堂」
「橋立堂」はご本尊が馬頭観世音菩薩ということもあり、馬にまつわるものが多い。
かつて馬が唯一の交通手段であった頃、馬頭観音は交通の守り本尊であったことから、縁日になると馬を引いた参拝者で賑わったという。また、交通手段が車に変わった現在も交通安全祈願に訪れる人々が多いということだ。
境内には他にもお堂やお地蔵さま、さまざまな石碑が立っている。
観音堂の裏手にある岩の上に鎮座する石像は最近の人物のようだが、詳しいことはわからず。もしかしたら、「橋立岩陰遺跡」にまつわる人物なのかもしれない。
霊場にふさわしい名称の石が並ぶ「橋立鍾乳洞」
「橋立堂」の奥の院である「橋立鍾乳洞」は秩父地方でも有名な観光スポットだけあって、巡礼者よりも観光客のほうが明らかに多い。
約12万年前に形作られ、縄文時代の住居跡でもある「橋立鍾乳洞」の長さは約144m。標高差は約33mにも及び、入り口から出口まで約20分ほどかかる。ときどき急な階段を上っては平坦な道を進んでいくようなイメージだ。
洞穴内は鍾乳石や石柱、石筍が林立していて、「千手観世音」「五智如来」「弘法大師の後ろ姿」といった名称がつけられている。
なお、内部は一方通行であり、撮影禁止になっているので注意が必要だ。
「橋立堂」の納経所の前にはおそば屋やこじゃれたカフェなどもあるため、他の札所とはちょっと違った賑やかさに包まれている。
巡礼地と観光地が同居していることで一風変わった雰囲気を漂わせているが、個人的に違和感はなかった。いい意味で昭和の空気が残っているようで、ちょっと面白いくらいだ。
「橋立鍾乳洞」は入場料が必要だが、決して高い料金ではない。巡礼の際には鍾乳洞にも入ってみるといいと思う。
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(お出かけ日:2025年7月25日)
※各情報は2025年8月時点のものです。