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我が横道を往く in 山梨⑨【八坂大神社】上条集落までの長い道

旅行記
八坂大神社

急きょ上条集落に行くつもりになってしまったワタシだが、かつて国道411号(大菩薩ライン)を歩き、大菩薩峠登山口にある「雲峰寺」まで行ったことがある。そのため、徒歩で上条集落の入り口にある「福蔵院」までの道のり、特に国道411号に入ってからは緩やかな上り坂が続くことをよく知っていた。
「栖雲寺」から「福蔵院」までの距離は約8kmで、そのうちの半分は上り坂。修行のような散策になると知りながらよく行ったものだと、ワタシは今になって思う…。

「栖雲寺」近くで見つけたタンポポ。このときののんきな心情を表しているような…。
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杉林の中にひっそりと佇む「八坂大神社」

「栖雲寺」から「福蔵院」までの間は甲府盆地に向かってところどころ山が突き出ていて、それこそ山の手のような地形なのが特徴だ。そのため、「福蔵院」までは山裾に沿って進むルートを取ることになる。

山梨県道213号 下荻原三日市場線に出てしばらく進むと、道端に「山神宮(山の神古墳)」が鎮座。
実はこのあたり、2018年に一人旅をしたときにも歩いているので、景色に見覚えがあった。

【山神宮(山の神古墳)】基本情報

山神宮(山の神古墳)
■住所:山梨県甲州市塩山藤木
■駐車場:なし
 ※そばに若干のスペースあり

山の神古墳を土台としているとされる神社。山梨県道213号 下荻原三日市場線とフルーツラインの分岐点にある。

このあたりは南西に向かって甲府盆地が開けているうえ、標高が少々高いので眺めがとてもいい。おまけに周囲には高い建物がないせいか、開放感も抜群。こちらの神社は古墳の上にあるそうだが、ここに古墳を造った人の気持ちがよくわかる。

神社からの眺望が素晴らしい。
祠の裏にある石仏。

「山神宮(山の神古墳)」でのお詣りをすませたワタシはフルーツラインに入って南下。その矢先に「八坂神社(エドヒガン桜)」と記された案内板を見つける。
案内板が指し示す先を見ると杉林と切り立った山の斜面しかない。しかし当然のことながら、そんなことで怯むワタシではなかった。

フルートライン沿いに立つ案内板。
杉林の背後にある扇山(恵林寺山)。
よく見ると岩がゴツゴツしている。

八坂大神社」へと続く道はやがて杉林のそばまで達する。
この杉林は山の斜面の木立からそのままつながっているようで、あとでマップアプリの航空写真を確認すると、杉林がちょこんと突き出ているような形になっていた。

杉林のそばに佇む石碑。
木立の向こうに拝殿が見える。

杉の木立に沿って歩いていくと鳥居の前に出る。
青々とした杉に囲まれながら立つ赤い鳥居は色彩のコントラストが印象深く、けっこうな存在感だ。鳥居の向こうには参道が続き、その先に拝殿が見える光景も、ここが神域であることを実感させてくれる。

「八坂大神社」の鳥居。
鳥居のそばに立派な石碑も立つ。
神社の由緒が刻まれた石碑。

また、鳥居のすぐそばには大きなエドヒガンの桜がある。
こちらのエドヒガンはけっこうな古木のようで、何か所も支柱で支えられ、幹が折れてしまっていたところもあった。「神代櫻」と名づけられたエドヒガンは、12月の今は杉の中に埋もれたような感じになっているが、時季が来ればきれいな花を咲かせてくれるのだろう。

道の上に枝が張り出したエドヒガン。
何本もの支柱が添えられていた。
エドヒガンのそばの石碑と案内板。

【八坂大神社】基本情報

八坂大神社
■住所:山梨県甲州市塩山藤木
 2353

■主祭神:素盞嗚尊・国常立命
 ・誉田別命
■駐車場:なし
 ※フルーツライン沿いに若干の
  スペースあり

拝殿の正面を横から。

上藤木地区の氏神として、扇山(恵林寺山)のふもとに祀られた神社。祭神である素盞嗚尊すさのおのみことの本地仏が牛頭天王であることから、氏子からは「お天王さん」と呼ばれ、疫病除けや五穀豊穣の神として親しまれている。神社がいつ頃に創建されたかは不明だが、京都の八坂神社を勧請して祀られたといわれ、江戸時代の地誌「甲斐国誌」や慶応4年/明治元年(1868)の「甲斐国社記・寺記」にも八坂大神社が記載されている。

鳥居をくぐってしばらく進むと、杉林の中に「八坂大神社」がひっそりと鎮座していた。
地元の方々が大切にしている神社なのだろう。拝殿は立派で、その周りもきれいになっている。
氏子のご家庭で生まれたと思われる赤ちゃんの名前が書かれた紙が拝殿に貼られ、今でも「八坂大神社」が親しまれていることがよくわかった。

また、拝殿の横には注連縄のかけられた巨岩も。このあたりは「廣蔵院」のように巨石を信仰する流れがあったのかもしれない。

「八坂大神社」の本殿。
拝殿の横にある巨岩。
境内にあった神像。
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各所で歴史の息吹を感じる大菩薩ライン

「八坂大神社」でお詣りをしたあと、ワタシはフルーツラインを南下し、途中で扇山(恵林寺山)の山裾沿いの道に入る。

実はこのとき、ワタシは「塩山ふれあいの森総合公園」を抜けるルートを使って上条集落へ行こうと考えていた。こちらのルートには階段もあり、山を少々登るようだが、所要時間はフルーツラインを進んだ場合とあまり変わらない。それに以前歩いたことがあるフルーツラインを進むのも面白くないなぁ…と思っていたのだ。

扇山(恵林寺山)の山裾から見た甲府盆地。

「塩山ふれあいの森総合公園」に着くと、ラジコンを走らせていたり、ワンコの散歩をしていたりする方々もいるのだが、中には車で来てすぐに引き返していく方々もいて、どこかおかしい。
首をかしげながら公園内に入ると、クマ出没注意のために園内の一部が立ち入り禁止に!? ワタシが予定していた公園内の山の中を抜けていくルートももちろん通れない。
「熊殺し」の異名を持つ空手家のウィリー・ウィリアムスでもないので、ワタシはかろうじて入れるエリアにあったあずまやでひと休みし、再びフルーツラインを南下するのだった。

「塩山ふれあいの森総合公園」の案内板。
立ち入り禁止の案内。とほほ…。
ワタシが休んだあずまや。

周りの景色はあまり変わらないのだが、「塩山ふれあいの森総合公園」あたりから車の数が増えはじめる。
途中、道からちょっと入ったところに小さな石の祠があるのを発見。由緒はわからないが、このあたりで果樹園を営む方々が建てたのかもしれない。

道の奥まったところにあった石の祠。
木々に囲まれて少々見つけづらい。

やがてフルーツラインは「新千野橋東詰」交差点で国道411号(大菩薩ライン)と交差。ここからは国道411号を東へ進むことになる。

上条集落までの道はここからが本番。本番なのだが…緩やかな上り坂がずっと先まで続く景色を見て、ワタシの心は萎えかける。
「やっぱり『慈雲寺』に行ってはどうかね。ブログには上条集落へ行こうとしたことは一切書かないようにすればいいじゃないか」
そんな悪魔のささやきが聞こえてくるようだ。
しかし、ワタシは「いや、せっかくここまで来たんだから」と心を奮い立たせ、国道411号に足を踏み入れる。何がこの人をここまでストイックにさせるのか…それはワタシにもわからない。

上り坂を歩きはじめて10分ほどはぐずぐずと逡巡し、国道411号から脇道に入った先に祠らしきものが見えてもワタシはスルーしていた。
しかし、現在は閉校した塩山北中学校あたりまで来たとき、道端に物置ほどの大きさの建物を発見。物置にしては屋根が立派だし、傍らには古そうなお地蔵さまも並んでいる。
こちらの建物はどうやらお堂のようだが、詳しいことはわからず。それでも「大菩薩ライン沿いにはいろいろありそうだ」と好奇心が湧いてきて、やっとテンションがアップしてくる。

国道411号は緩やかな坂道がずっと続く。
塩山北中学校近くのお堂?
お堂のそばに立つお地蔵様など。

さらに、大藤簡易郵便局を過ぎてしばらく歩いたところでは、道端にかなり古い馬頭観音が立っているのを発見。その先にも、今度は立派な馬頭観音が立っていた。

また、明治時代に歌人や小説家として活躍した樋口一葉の旧邸跡や墓所もあるという。
このあたりまで来て、もしかすると国道411号は歴史を感じられる街道かも…という気になってくる。

歩道そばに佇んでいた古い馬頭観音。崩れかけている。
新しい馬頭観音。近くの古い馬頭観音を建て直したものか?
樋口一葉の旧邸跡などの案内板。国道411号沿いにあり。
樋口一葉の墓所。周りはかなり広々としている。

樋口一葉の旧邸跡と墓所に立ったとき、木立を背にした赤い屋根の建物が向こうに見えた。
建物の正面部分に壁がまったくなく、注連縄らしきものがかかっているようだ。パッと見たところ、なんとも不思議な雰囲気を醸し出している建物だった。
「栖雲寺」からここまでの距離は約6.5km。3時間ほど歩きつづけていたため、さすがにけっこう疲れていたが、それでも向かってしまうのがワタシという人間だ。

建物の正面ががら空き!?

【大原山神社】基本情報

大原山神社
■住所:山梨県甲州市塩山中萩原
 1343

■主祭神:大山祇命
■駐車場:なし

拝殿の奥にあった祠。

国道411号(大菩薩ライン)沿いに鎮座する神社。由緒は不明だが、山梨県が保管する明治12年(1879)の明細帳に、本殿の間口は3尺(約91cm)、奥行は6尺5寸(約197cm)という記録が残っている。

大原山神社」のそばには鉄棒もあり、地元の方々のちょっとした憩いの場といった印象だ。
拝殿の奥に祠が鎮座し、もしかしたらこちらが本殿だったかもしれない。この時点でかなりぐったりしていたワタシは、拝殿の裏に回って本殿が鎮座しているかどうか確かめるのを忘れていた…。

約3時間半後、上条集落の「福蔵院」に到着!

「大原山神社」でお詣りをしたあとは再び国道411号を進む。
途中、「松永園」という果樹園の前でお地蔵さまを見つける。お地蔵さまが左手に持っているのが宝珠ではなく桃のように見えたので、ワタシは「さすが山梨っぽいなぁ」と思ったが、これはワタシのただの思い込みかもしれない。

お地蔵さまの近くには甲州市神金地区の案内板があり、そちらで上条集落の位置を確認。
もう少し歩くのか…と少々げんなりしつつも歩を進める。

「松永園」前に鎮座するお地蔵さま。
国道411号沿いにあった神金地区の案内板。
やっと案内板に「上条」の文字が!

その後は国道411号を離れ、今度は上条集落に向かって北へ。
やがて遠くのほうに「ふくすけ型民家」とも呼ばれる「突き上げ屋根」が見えてくるが、ワタシが立っているところより明らかに標高が高い。まだ上り坂が続くというのか…。
それだけに「福蔵院」らしきお寺の屋根が見えたときはかなりうれしかった。「栖雲寺」を出発したのが11時30分頃で、このあたりに着いたのは14時前。3時間半ほど歩いただけに、「よっしゃー!!」というよりは「…やっと着いた」という感じだったが。

上のほうに突き上げ屋根の民家が…。
上条集落のあたりは本当にのどかだ。
「福蔵院」が見えてきた!

前回「福蔵院」を訪れたのは2019年だから、もう5年以上前だ。
上条集落の手前の景色はその頃とほとんど変わっていない。「福蔵院」の山門の前に立ったときは、「ああ、懐かしいなぁ…」という感慨がこみ上げてきたくらいだ。

2019年のときは写真をあまり残さなかった。そのため、ワタシは「今回はしっかり写真を撮るぞ!」という意気込みも新たに「福蔵院」の山門に近づいていくのだった。

「福蔵院」の山門。

【廣雲寺~上条集落(福蔵院) 散策マップ】

「我が横道を往く in 山梨」一覧

①【法蔵寺】延命地蔵尊とともに刻みつづける悠久の歴史
②【展望の社 差出磯大嶽山神社】時の流れを感じさせる景勝地

③【霊岩寺】山裾にひっそりと佇む本堂、その奥に残る岩窟で…
④【食事処みはらし】懐かしい雰囲気の食堂で昼食を
⑤【稲子沢】7年の月日を感じさせる景色の変化
⑥【一之橋館】懐かしい「おばあちゃんち」でのんびりとした時間を
⑦【廣蔵院】境内の奥にある巨岩に息を呑む
⑧【栖雲寺】冬でも見事な枝ぶりを堪能できるしだれ桜
⑨【八坂大神社】上条集落までの長い道

(お出かけ日:2025年12月14日~12月15日)
※敬称略させていただきます。
※各情報は2026年1月時点のものです。

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