この日、ワタシがJR中央本線の勝沼ぶどう郷駅に着いたのは12時過ぎ。そして帰りは16時近くの列車に乗る予定だった。
つまり、勝沼ぶどう郷に滞在できるのは4時間弱。にもかかわらずワタシは寄り道はするわ、道を間違えるわ…。それでもなんとか「等々力寺町」に着くことができた。到着時間は14時前だったので、しっかり「等々力寺町」を散策できるか心配だったが…。
「等々力寺町」を目指すときに知っておきたいポイント
ワタシが「等々力寺町」に惹かれた理由、それは事前に得た情報が1枚の写真と「約300mの道の間に9つの寺院が並び、独特な風情がある」という一文しかなかったから。それならば実際にどんな景色なのか確かめてみようと思ったわけだ。
「等々力寺町」には勝沼ぶどう郷駅から歩いて40分ほどで到着できる。しかし、マップアプリの某先生の目的地を設定する際に間違えたうえ、さんざん寄り道をした結果、「等々力寺町」に着くまで1時間30分ほどかかってしまった。
【等々力寺町】基本情報

約300mの間に9つの寺院が点在している寺町。かつて、浄土真宗の古刹として知られる萬福寺の山門と総門の間にあった参道の両側に、頭塔12坊が並んでいた。しかし、浄土真宗東西分派の影響を受けて正保3年(1646)に頭塔9坊が大谷派(現在の真宗大谷派)に宗旨替え。独立して萬福寺の東側にある等々力原に移転し、「坊住寺町」と呼ばれたのが始まりとされる。当時は寺町小路の南側に東から仙光寺、圓成寺、光源寺、賢正寺、淨蓮寺、西教寺、慶専寺、報恩寺、專立寺の順で並んでいた。その後、寛延2年(1794)2月に発生した寛延等々力大火のために綿塚境まで焼き尽くされてしまい、淨蓮寺が甲州街道側に、慶専寺と專立寺が寺町小路の北側にそれぞれ移転・再興されて現在の寺町の形となった。
国道411号と山梨県道34号 白井甲州線(旧甲州街道)がぶつかる「等々力」交差点の北東側に「等々力寺町」は位置する。寺町小路の西側に国道411号、南側に山梨県道34号(旧甲州街道)が走っているイメージだ。
「等々力寺町」には国道411号を経て寺町小路の西側から入るのが一番わかりやすいだろう。他にも山梨県道34号(旧甲州街道)から北上して寺町小路の中ほどに入るルート、小道を経て寺町小路の東側から入るルートもある。
ちなみに、マップアプリの某先生で勝沼ぶどう郷駅から徒歩のルートを検索した場合、「等々力寺町」には寺町小路の東側から入るルートを案内される。
実際に「等々力寺町」へ行き、事前に知っておくと便利かも…と思ったことがいくつかあった。そちらを記しておくので、もし行ってみたいと思った方がいたら参考にしていただければ幸いだ。
「等々力寺町」に関する注意点
①マップアプリの目的地は「慶専寺」にしておくと便利
「グレープマン西へ in 山梨③【祝橋】よりみちえのさん、迷う!?の巻」で記したように、マップアプリで「等々力寺町」を検索しても見つからない可能性がある。
そのため、マップアプリを使って「等々力寺町」を目指すときは、寺町小路の中ほどにある「慶専寺」を目的地として設定しておくといいだろう。
②駐車場は「慶専寺」にあり
「等々力寺町」のお寺によっては、周囲に車を停められるスペースがあるが、こちらは檀家さん専用なのか、それともそもそも車を停めていいスペースなのかがわからなかった。
そのため、車で「等々力寺町」に向かう場合は、駐車場の看板があった「慶専寺」に駐車させていただくのがいいんじゃないかと思う。ワタシの見落としがなければ、「慶専寺」以外で駐車場の看板を見かけなかったので。
③撮影や立ち入りが禁止されている寺院がある
「賢正寺」には「関係者以外立ち入り禁止」の看板が、「專立寺」には「観光客おことわり 撮影禁止」の看板がそれぞれ立っている。こちらのお寺では、ワタシは境内に入らず門前からお参りした。
こういった事情なので、今回の記事ではお寺の施設情報のみ掲載し、写真は載せていない。
④淨蓮寺は別の通り沿いにある
「等々力寺町」には9つのお寺があるが、「淨蓮寺」のみ出入り口が寺町小路沿いではなく、山梨県道34号(旧甲州街道)沿いにあるので要注意。
最初、ワタシはそのことに気づかず、「淨蓮寺」を探すのに苦労したので…。
石畳が敷きつめられた「等々力寺町」
マップアプリの某先生に目的地を設定する際、なぜ「萬福寺」にしたかというと、マップを確認したら近くにお寺がいくつか固まった道があり、これが「等々力寺町」だと思ったからだ。
この推測は当たっていたようで、「萬福寺」に近づくにつれ「等々力寺町」の案内板も見かけるようになり、結果的にワタシは国道411号を経由して寺町小路の西側から「等々力寺町」に入った。
「萬福寺」は遠目に見るだけで終わってしまったが、立派なお寺だったので機会があったら行ってみたい。
なお、以下で「等々力寺町」の各寺院を紹介しているが、「賢正寺」「專立寺」以外は寺町小路の東側から入った場合に巡る順番になっている。
【仙光寺】基本情報
諏訪山 仙光寺
■住所:山梨県甲州市勝沼町
等々力1582
■宗派:真宗大谷派
■本尊:阿弥陀如来
■電話:0553-44-2608
【圓成寺】基本情報
圓成寺
■住所:山梨県甲州市勝沼町
等々力1577
■宗派:真宗大谷派
■本尊:阿弥陀如来
■電話:0553-44-0865
【光源寺】基本情報
等力山 光源寺
■住所:山梨県甲州市勝沼町
等々力1511
■宗派:真宗大谷派
■本尊:阿弥陀如来
■電話:0553-44-1026

【慶専寺】基本情報
廣大山 慶専寺
■住所:山梨県甲州市勝沼町
等々力1616
■宗派:真宗大谷派
■本尊:阿弥陀如来
■電話:0553-44-0284
【報恩寺】基本情報
謝徳山 報恩寺
■住所:山梨県甲州市勝沼町
等々力1480
■宗派:真宗大谷派
■本尊:阿弥陀如来
■電話:0553-44-0763
【西教寺】基本情報
等々力山 西教寺
■住所:山梨県甲州市勝沼町
等々力1458
■宗派:真宗大谷派
■本尊:阿弥陀如来
■電話:0553-44-3041

【淨蓮寺】基本情報
鳳凰山 淨蓮寺
■住所:山梨県甲州市勝沼町
等々力1473
■宗派:真宗大谷派
■本尊:阿弥陀如来
■電話:0553-44-0392

【賢正寺】【專立寺】基本情報
賢正寺
■住所:山梨県甲州市勝沼町
等々力1485
■宗派:真宗大谷派
■本尊:阿弥陀如来
■電話:0553-44-1026
(光源寺)
真乘山 專立寺
■住所:山梨県甲州市勝沼町
等々力1627
■宗派:真宗大谷派
■本尊:阿弥陀如来
■電話:0553-44-0393
国道411号はそこそこの交通量がある道なのだが、「等々力寺町」に入ると細めの道に石畳が敷きつめられていることもあって空気が一転。
寺町小路の左右にはお寺以外に民家や畑もあるが、ワタシが散策したときにはほとんど人を見かけず、観光客はワタシのみ。近くにある国道や県道から車の音が聞こえてくることもない。ひっそりとしていて、どこか別の世界へいざなわれるような雰囲気があった。
逆にここまで静かだと、ワタシのような余所者は寺町小路の静寂を破らないようにしないと…とどこか遠慮してしまうのが人情というもの。実際、「等々力寺町」に足を踏み入れたワタシはちょっとオドオドしていた。そこまでビビらなくてもいいのに…。
そして、ワタシが最初に見つけたのが「西教寺」。小さな山門を前にして「…入っていいのかしら」と思いつつ、おずおずと境内へ。
山門をくぐって中に入ってみると本堂の前は意外と広く、境内はきれいに手入れされていたのでちょっと安心してお参り。ここで少しばかりワタシの緊張も解ける。
…と思ったら、続く「專立寺」の前に立った途端に「観光客おことわり、撮影禁止」と書かれた看板が目に入り、ワタシの中で緊張感が再びアップ。「等々力寺町」は観光客を快く思ってないのかなぁ…とワタシなりに感じてしまったわけだ。
ただ、続く「報恩寺」や「慶専寺」、「光源寺」や「圓成寺」では人を見かけないながらも、観光客を拒むような雰囲気はなし。ワタシはひとつずつお寺を回り、それぞれの本堂の前で手を合わせた。
「等々力寺町」のお寺の特徴としては、立派な築地塀に囲まれた「仙光寺」以外はこぢんまりとしたお寺が多い。お参りをしてから境内を散策をしても、ひとつのお寺につき5分ほどあれば十分だった。
「仙光寺」までお参りしたあと、寺町小路の東側まで出たところに案内板があったので確認してみると…山梨県道34号(旧甲州街道)沿いにお寺がひとつあるじゃないか!?
マップアプリの某先生で調べてみたところ、該当するお寺は「淨蓮寺」。入り口は「等々力寺町」の寺町小路沿いではなく、山梨県道34号(旧甲州街道)沿いにあることがわかり、マップアプリの某先生を頼りに「淨蓮寺」へ向かう。こういうときは某先生も頼りになるんだよなぁ。
ただし、そのルートは寺町小路をもう一度通って国道411号に出たのち、「等々力」交差点から山梨県道34号(旧甲州街道)に入るため、なかなか距離がある。だからといって、ここまで来てひとつだけお参りしないで帰るという考えはない。というわけで、ワタシは「淨蓮寺」に足を向けるのだった。
「淨蓮寺」に無事到着し、お参りをすませたところで、ワタシは自分が撮影した写真を確認。
…あれ、撮影が禁止されている「專立寺」を抜いても8つのお寺しか回っていないぞ!? 「等々力寺町」には確か9つのお寺があったはずなのに…。
そこでワタシは「等々力寺町」の東側にあった案内板や、「慶専寺」の前にあった案内板の写真も含めて再確認し、まだ「賢正寺」に行ってないことを突き止める。某先生で確認すると「等々力寺町」の寺町小路沿い、「光源寺」のすぐそばにあるとのことだが、そんなお寺、見かけたかしら…。
半信半疑ながら某先生を頼りに「賢正寺」へ向かってみると、確かに「光源寺」の山門のそばに小さなお堂のような建物がある。さらに「関係者以外立ち入り禁止 賢正寺」と書かれた看板も。…関係者以外は立ち入り禁止!? というわけで、ワタシは「賢正寺」の本堂が見えるところからそっとお参りする。
最後は締まらない終わり方になってしまったが、お寺が点在する静かな小路を散策するのはとてもいい気分転換になった。結果的にすべてのお寺を回っても、ワタシが費やしたのは1時間程度。これは「淨蓮寺」と「賢正寺」を探した時間も含めてなので、実際には1時間もかからずにすべてのお寺をお参りできるはず。ちょっとした散策にちょうどいい。
ただ、「等々力寺町」は町と地元の方々の生活に溶け込んだ小路といった風情に満ちている。そのため、ワタシのような異分子が小路を行ったり来たりしているのを見た地元の方々に、「あいつ、何やってんだ?」と怪しまれたんじゃないかと、ちょっとだけ心配だったりもした。
「グレープマン西へ in 山梨」一覧
①【電気機関車 EF6418】勝沼ぶどう郷駅のすぐそばに展示
②【勝沼氏館跡】戦国時代の館の規模を実感!
③【祝橋】よりみちえのさん、迷う!?の巻
④【等々力寺町】9つのお寺が点在する約300mの寺町小路
⑤【松柏園】
(お出かけ日:2025年10月18日)
※敬称略させていただきます。
※各情報は2025年11月時点のものです。






























