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「北勝富士引退 大山襲名 披露大相撲」へ行く!~本場所とは違う和やかな雰囲気に包まれた断髪式~

大相撲観戦記

2025年 大相撲九月場所観戦記~大好きだったあの力士が目に前に!?~」で記したとおり、不器用なくらい真っ正直にぶつかっていく元小結の北勝富士(現 大山親方)がワタシは好きだった。
2025年5月をもって引退した北勝富士の断髪式が2026年五月場所のあとに行われることは知っていたが、観に行こうか正直悩んでいた。しかし、断髪式が約1か月後に迫ったあるときにふと「行こう!」と思い立ち、その場の勢いですぐさまチケットを入手。
引退・襲名披露大相撲(断髪式)を観るのは初めてだから、けっこう楽しみだなぁ!

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両国国技館を散策している最中に八角理事長が!!

五月場所が終わったばかりの5月30日。
ワタシは「北勝富士引退 大山襲名 披露大相撲」を観戦するため、1人で両国国技館へ向かう。

開場は10時30分で、取組開始は11時30分。取組開始30分前に会場入りすれば、館内の散策やお弁当の購入に十分な時間があるだろうと思って11時には両国国技館の前に到着する。

両国国技館に向かって歩いていて、まず驚いたのがズラリと並んだ幟。すべての幟が北勝富士のものなのだ。
これまで見たことのない光景はけっこう壮観。この日の興行が北勝富士のためにあることを実感させられる。

北勝富士の幟だらけ!

入場してすぐにワタシは館内の散策を開始。
国技館の正面入り口の前には披露大相撲の大きな看板が、普段は賜杯や優勝旗などが飾られている1階正面側のスペースには北勝富士の化粧まわしがそれぞれ置かれていて、たくさんのファンが集まって写真撮影をしていた。

披露大相撲の看板。
北勝富士の化粧まわし。
興行開始前の館内。

ここで驚いたのが館内の熱気! 記念グッズショップをはじめとした各売店にはたくさんのファンが集まり、楽しそうにグッズやお弁当を買っている。その雰囲気が本場所とは少々違う。どこかのんびりとした、いい意味でちょっと緩い空気が流れているのだ。

本場所は番付に関わる大事な興行なので、観ているほうもどこか緊張感がある(ような気がする)。しかし、今回の披露大相撲にそんな張り詰めた空気が皆無。館内を散策しているだけで、どこかワクワクしてしまうのだ。この空気を感じられただけでも、ワタシは来てよかったと思えた。

ただし、大山親方監修グルメの売店はどこも人でいっぱい。お弁当を買うだけでもかなりの時間を要しそうだったし、「あんた、うなぎ大好きじゃないの。ご祝儀みたいなもんだよ」という心の声が聞こえてきた気もしたので、ここは奮発して「まるや本店」のうなぎ弁当を購入する。

記念グッズショップは大混雑!
こちらが「まるや本店」のうなぎ弁当。
おいしくて夢中でいただいてしまった。

さらに散策を続けていると、どこかで見たことがある人とすれ違う。リボン胸章をつけていたのでチラッと覗いてみると…「愛甲猛」と記してある! なんと、ロッテオリオンズのあの強打者じゃないか!! このとき声をかけることはできなかったが、ワタシのテンションが一気にアップする。

続けて、ワタシとKが本場所を観戦するときによく行く1階の「正1」出入り口付近に足を向けてみると、「相撲博物館」の出入り口あたりに2人のファンが博物館の中を指さしながら何か話しているを見かける。
けっこう大きな声でしゃべっているので、その声に耳を傾けてみると、どうやら博物館の中に八角理事長(元横綱・北勝海)がいるらしく、出てくるのを待っているようだ。

そこでワタシもしれっと近づいてみると、八角理事長がちょうど出てくるところに遭遇! その場でサインをお願いしたのはワタシを含めて4人で、八角理事長は全員にサインをしたあと、日本相撲協会の事務室のほうへ去っていった。

うれしいハプニングの連発に、ワタシは席に着く前からちょっとした疲れを覚えるほどの興奮ぶり。まだ興行が始まっていないというのに、これからどうなることやら…。

颯爽と去っていく八角理事長。
八角理事長のサイン。

「北勝富士引退 大山襲名 披露大相撲」の演目

今回はせっかくなので「『百周年場所 古式大相撲と現代大相撲』観戦記~相撲の歴史の一端に触れる機会に~」の記事と同じように、興行の進行に沿って各演目を紹介していく。
基本的に引退・襲名披露大相撲は同じような進行だと思うので、これから披露大相撲に行ってみようと考えている方の参考になれば幸いだ。

ちなみに、今回の披露大相撲はNHKの大相撲中継で活躍した吉田賢アナウンサーが司会を担当。絶妙なトークで会場を盛り上げ、「さすがだ!」を感心してしまう場面が何度もあった。

ふれ太鼓

引退・襲名披露大相撲はふれ太鼓からスタート。高砂一門の呼出しは「断髪式記念反物」で作られたと思しき、鮮やかな青色の衣装をまとっていた。
このとき、ワタシはまだ席に着いたばかりで落ち着いておらず、呼出しがどんな口上を述べたのか忘れてしまった。いい雰囲気だなぁと思った覚えはあるのだが…。

右端の呼出しの背には「八角」の文字が。

十両土俵入

続いては十両力士の土俵入り。このあたりでワタシも少しは落ち着いて、雰囲気に慣れてくる。
土俵入りを行う力士の中には、五月場所で好成績を残し、新入幕が確実視されていた一意や大青山、再入幕するであろうと予測された阿武剋や尊富士の姿も。そう考えると、かなり豪華な顔ぶれだった。

Kが好きな錦木もいる!

初切

その後は地方巡業ではお馴染みの初切。両国国技館ではなかなかお目にかかれない光景だ。
ワタシは初切が意外と好きだ。なぜなら、ジャイアント馬場が率いるファミリー軍団と、永源遙や渕正信らで構成された悪役商会の、かつての全日本プロレスで名物だった抗争を思い出すから。お約束も慣れるとけっこう楽しい。

両国国技館でこんなシーンが観られるとは!

十両取組

初切のあとは十両の取組に。
最初の取組は幕下の長内(178.0cm/112.7kg)と炎鵬(167.0cm/107.0kg)。
他の力士と比べて体格が明らかに小さい炎鵬を観ると、なぜか毎回「おお、炎鵬だ!」とテンションが上がってしまう。五月場所でも炎鵬は観ているはずなのだが…。

十両の取組になると客席も徐々に埋まってくる。

北勝富士 最後の土俵入り

十両の取組が終わったあとはいよいよ北勝富士の最後の土俵入りだ。
北勝富士は5歳の長男・春仁くんとともに登場。春仁くんは数千人のファンを前にしても、おどおどした様子はなく、どこかキョトンとしたような表情を浮かべていた。
そんな春仁くんを引き連れて土俵に上がった北勝富士は終始ニコニコ。土俵の中央で豪快な「高い高い」をしたあとで、北勝富士は四方に向かって一礼。館内が一気に温かい空気で満たされた。

お揃いの化粧まわしで土俵入り。
春仁くんを軽々と「高い高い」。
最後は丁寧に一礼。

髪結い実演

北勝富士の最後の土俵入りが終わったら、今度は朝紅龍をモデルとして床山の床岳が髷を整える髪結い実演。こちらも地方巡業でよく見る光景だ。
そう考えると、引退・襲名披露大相撲は地方巡業の演目に、披露大相撲を行う力士のイベントがところどころに挟まる興行なのだと認識しておくといいのかもしれない。

髪結い実演中にワタシはうなぎ弁当をいただく。

北勝富士 最後の一番

北勝富士にとって最後の相手は同学年であり、入門も同時期という御嶽海。吉田アナウンサーによると、北勝富士が最後の相手を務めてほしいとお願いした際、ライバルだった御嶽海は「本気でいくからな」と応えたという。

ただ、北勝富士は昨年に引退しているのだから、まともにぶつかって勝てるわけがない。しかし、最後の一番なのだから北勝富士に花を持たせて…などというワタシの勝手な予想を惑わす存在があった。それは懸賞金だ。
まさか懸賞金が懸かるとは思っていなかったので、「ここは相手をしてくれたお礼を込めて…」と御嶽海の勝利を予想。しかし、結果は北勝富士の勝利だった。
冷静に考えれば、今回は北勝富士の引退・襲名披露大相撲であり、北勝富士個人の興行だ。だから、懸賞金は北勝富士のために用意されたご祝儀のようなものだろう。

北勝富士と御嶽海の一番はなかなかの熱戦に!

そう考えれば、北勝富士の勝利も納得がいく…などというワタシの下世話な予想は置いておいて、こちらの一番はけっこう熱かった。引退して1年経ち、体も小さくなったように見える北勝富士がけっこう動けたことに、ワタシはむしろ感心したぐらいだ。
他のお客さんも同じように感じたのか、会場はけっこう盛り上がっていた。

懸賞金が数本懸けられた。
仕切り時の北勝富士のこの仕草も最後だ。
取組のあと、2人揃って四方に一礼。

相撲甚句

北勝富士の最後の一番のあとは、北大地、蒼富士、美浜海、鶴ノ海、栃岐岳、本東による相撲甚句。興奮したあとはここでちょっとひと息、といったところだ。
そんな気分で観ているから、相撲甚句が実際にどんな内容だったのか覚えていない。旅から旅へ、巡業の様子を歌っていたような気がするのだが…。

「ドスコイドスコイ」のかけ声が楽しい相撲甚句。

御挨拶

相撲甚句が終わると、土俵上に赤いじゅうたんが十字に敷かれ、断髪式が近いことを感じさせる。
準備が完了したのち、断髪式の前に全国八角部屋後援会の会長を務める政治家の鈴木宗男が挨拶。
長くなるのかなぁ…というワタシの予想を裏切る、要点のまとまった、スパッとした短時間の挨拶だった。

鈴木宗男が後援会を代表して挨拶。

断髪式

断髪式が始まると、まずは鈴木宗男がはさみを入れ、続いて松山千春が登場。その後は知人やタニマチ、関係者と思しき人たち、力士や親方衆と続いていく。
途中、北勝富士のご家族も参加するのだが、力士や親方衆の前だったような気がする。約300人も参加するのだから、記憶もあいまいになってしまった。

大の里の土俵入り。

断髪式の間、北勝富士はずっと正面を向いているわけではなく、ある程度進んだところで西→向正面→東と全方面のファンが正面から観られるように回り、再び正面を向く。そして最後に師匠の八角親方が止めばさみを入れる。

さすがに約300人も参加するため、断髪式は1時間30分以上かかった気がする。
ただ、合間に吉田アナウンサーから参加者と北勝富士との関係が紹介されたり、うまいタイミングで「今日が『北勝富士ーっ!』としこ名を呼べる最後の日です!」といった声がかかったりするので、意外とダラッとした時間にはならなかった。
ただ、子どもたちはさすがに飽きてしまったようで、館内を元気に走り回って遊んでいた。それが許されるのも断髪式ならではなのかもしれない。

ちなみに、ワタシといえば「次は意外な人が出てくるんじゃないか…!?」と勝手に期待して、できるだけ土俵上を注視。個人的には、はさみを入れたあとで北勝富士の肩にそっと手を置き、何か語りかけている現役力士の姿が印象的だった。

途中、向きを変えながら断髪式を続行。
北勝富士をねぎらう現役力士も。
最後は八角親方による止めばさみ。

大山 御礼の挨拶・花束贈呈

長い断髪式のあとは大山親方の挨拶、土俵下でご家族からの花束贈呈と続く。
挨拶のとき、「私は幸せな力士でした」と大山親方が述べると、ワタシはじーんとしてしまう。その言葉には周囲への感謝がにじんでいるように思えたからだ。感謝の気持ちを忘れない、大山親方の実直な人柄が表れているような気がした。

髷を落としたばかりの大山親方が挨拶。
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-----(中入)-----

幕内土俵入

いったん中入となり、ひと息ついたあとで幕内土俵入が始まる。このあたりになると、普段の相撲の風景に戻ってきたような感覚になった。
まあ、相撲自体が非日常的な世界なのだが、その中でも断髪式は一種独特の雰囲気を放つ特別な世界だった、ということなのかもしれない。

見慣れた風景の幕内力士の土俵入り。

横綱土俵入

五月場所は両横綱がともに休場したため、今回の引退・襲名披露大相撲に出場できるのか、かなり不安だった。

まずは豊昇龍が土俵入りを披露。五月場所では右ハムストリングス、つまりは右太ももの裏側を損傷したのだが、ケガした一番をリアルタイムで観ていたワタシからすると、治るまで時間がかかりそうな気がしていた。なぜなら、身体能力の高い豊昇龍だからこそできる、かなり無理な体勢でこらえたような印象があったからだ。
しかし、豊昇龍は痛みを残しているような動きを見せることなく、いつものように土俵入り。回復力も高いんだなぁと感心してしまった。

一方の大の里はどこか元気がない。覇気がいまいち感じられないのだ。三月場所の序盤から休場しているから…ということなのかもしれないが、やはり心配だ。

まずは豊昇龍が土俵入り。
続いて大の里。

櫓太鼓打分実演

横綱土俵入が終わったあとは呼出しの大吉による櫓太鼓の打分実演だ。
打分実演は地方興行だと中入前に行われる印象があった。ただ、2024年4月に行われた能登半島地震復興支援・勧進大相撲のときは今回と同じように横綱土俵入のあと。興行によってしきたりのようなものがあるのかもしれない。

テケテンと軽妙な音が館内に響いていた。

幕内取組

幕内取組では五月場所を休場した力士の動きが気になった。
豊昇龍はけっこう動けている印象だったが、髙安や朝紅龍は負傷箇所をかばっているようだった。
中でも心配だったのが結びの一番に出てきた大の里。仕切りの際、横から見た大の里の下半身が細くなっているように思えたのだ。ただし、これはあくまでワタシの印象だが…。

結びの一番は豊昇龍の動きのよさが目立った。

弓取式

引退・襲名披露大相撲の最後は弓取式。
今回の興行のお客さんの入りは8割程度の印象だったが、要所要所で盛り上がり、とてもいい興行だった。
何より館内の雰囲気が温かいのがいい。相撲ならではの伝統を肩肘張らず楽しむ。そんな雰囲気に満ちていたので、今後も機会があれば行きたいなぁと思った。

弓取式は八角部屋の北勝栄が務める。

弓取式が終わったあとは記念グッズショップに寄ってみる。閉店間際といった感じで、さすがにお客さんはまばら。残っているグッズもかなり少なかった。

続いて本場所のときのように両国国技館1階「西」の外に出てみると、力士たちが帰るところに遭遇。
竜電は小さな息子さんを連れてきていたようで、ワタシはニコニコしながら周りのファンに手を振る息子さんと目が合い、思わず手を振り返してしまった。息子さん、笑顔が本当にかわいかったなぁ!

Kへのおみやげのポーチ。
すぐそばを熱海富士が通り過ぎる!
ファンに応じる義ノ富士。

両国国技館を出たあともお楽しみが!

両国国技館の南門から敷地の外に出ると、そこには30人~40人ほどのファンが出待ちをしていた。このとき、館内では大山親方の襲名披露パーティーが行われていたようで、そちらに参加した力士が出てくるのを待っているようだ。
せっかくなのでワタシも一緒に待っていると、しばらく時間を置いてから紋付袴姿の力士が少しずつ姿を現す。力士たちは両国国技館の前からタクシーを使ったり、JR総武本線(総武線)の両国駅のほうへ歩いていったりとまちまちなのだが、中にはサインや記念撮影に応じる力士も! おかげでワタシも藤ノ川と羽出山からサインをいただくことができた。

ただ、これは重要なことだが、力士や親方の厚意やその日のさまざまな要素によって状況は変わる。そのため、会場に行けば力士や親方から必ずサインがいただけるかはわからない。
もしサインをいただける機会に恵まれたら、力士や親方の厚意を無駄にしないよう、こちらもマナーを守って楽しむことが大切だ。

国技館から出てくる若元春。
記念撮影に応じる藤ノ川。
断髪式に参加した石塚英彦も快くサイン。
藤ノ川のサイン。
羽出山のサイン。

引退・襲名披露大相撲は本場所とはひと味違った伝統を、ゆったりとした気分で楽しめる。年に数回あるかないかの興行だが、いろいろな楽しみがあるので今後も機会があれば…と思っている。
というか、2027年1月に行われる遠藤の断髪式にもかなり惹かれている今日この頃だ。

帰宅中、電車の中で今回の断髪式のニュースを見る。
頬を涙で濡らす北勝富士の写真を見て、ワタシも目が潤みそうになってしまった。

(お出かけ日:2026年5月30日)
※一部を除き敬称略させていただきます。
※各情報は2026年7月時点のものです。

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